2025年、年初めのご挨拶と新事業進出補助金

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明けましておめでとうございます。

本年も、補助金活用と、ドローンの産業利用に関する話題をバンバンお届けしていきますので、

どうぞよろしくお願いいたします。

年明けのトップは「中小企業新事業進出補助金」の話題です。

コロナ禍からの回復を目的に制度化された事業再構築補助金が昨年で公募完了となり、

それに変わる形で新たに創設された補助金制度で、事業再構築と同様、かなり大きめの補助が受けられることが特徴です。

中小企業新事業進出補助金

【1】補助金制度の主旨

 

新市場・高付加価値事業への進出する際の設備投資を補助するための補助金制度で、既存基金(おそらく事業再構築の残り)を活用することで1500億円の予算規模が確保されています。

対象となる経費は、建物の建築費用、構造物の設置費用、機械装置の購入費用、システム開発費用、外注費、広告宣伝・販売促進費用などとなっています。

この新市場・高付加価値事業への進出の例として、政府広報によると以下の2つの例が掲載されています。

1つは、機械加工業でのノウハウを活かして、新たに半導体製造装置部品の製造に進出するようなケース、

もう1つは、医療機器製造技術を活かして蒸溜所を建設し、新たにウィスキー市場に進出するようなケース

です。

いずれにしても、事業再構築とは異なり(コロナとは関係なく)既存の経営資源(技術)を活用して新たな市場に打ち出しを行う事業が対象になります。

尚、補助上限額ですが他の補助金制度よりも大きめで、大幅賃上げ特例の条件を満たした従業員101人以上の企業の場合、9000万円までの補助が受けられます。

その他詳しい内容については、新事業進出補助金のリーフレットをご覧ください。

(2025年度中小企業新事業進出補助金のリーフレット)
中小企業新事業進出補助金

【2】事業再構築補助金との相違点

 

支援の目的のほか、基本要件や補助下限などが大きく変わっています。

(1)「1500万円以上の投資」が必須です

補助率は1/2で補助下限が750万円となっているので、総事業費が1500万円以上の大型案件が補助の対象となります。

金額的に、ものづくり補助金などでカバーできない大型案件などで、この補助金を検討するのが良いと思います。

(2)「賃上げ」が必須です

リーフレットの中の基本要件を見ると、一人当たり給与支給総額の年平均成長率と、事業所内最低賃金の2つが基本要件に加わっており、

政府が推進している賃上げ支援政策の一環であることがわかります。

しかも、この2つの要件は必達条件となっているので、未達であると補助金の返還を求められますので、賃上げには真剣に取り組む必要があります。

尚、従業員を雇用していない企業や個人事業主の方は基本要件を満たすことができないので、本補助金の対象から外れることになります。

(3)対象経費の範囲が拡大されています

構造物(屋外看板など)の設置費用や広告宣伝・販売促進費用も補助対象になっており、補助対象が拡張されています。

ただし、建物費、機械装置購入費・システム構築費は、事業再構築の場合と同様に、いずれかを含むことが必須になると思われます。

(4)収益納付が廃止されました

補助金以上に利益が出た場合、国が投資した補助金の金額を国庫に返納する処理を収益納付と言いますが、

2025年度のものづくり補助金と同様、中小企業新事業進出補助金でも収益納付の義務がなくなりました。

これによって、無理に、利益を再投資に回す必要がなくなりました。

(5)補助金の事務局が変わる可能性があります

現在、2025年度以降の新事務局の募集が行われており、事業再構築の事務局を担当したパソナから他の事業体に変わる可能性があります。

筆者としては、補助金事務局の経験豊富な(パソナ以外の)事業体に変わることで、事務処理の迅速化を期待したいところです。

【3】中小企業新事業進出補助金制度の注意点

 

(1)複数年度にまたがる事業となること

補助事業期間が交付決定日から14ヶ月以内(採択から16ヶ月以内)となっており、明らかに複数年度を跨いで実施されることになります。

ですから、年度内の早急な立ち上げを行いたい事業などには、この補助金は向きません。

事業再構築の時もそうでしたが、事務局の処理が遅くて審査が進まないため、採択されたにも関わらず途中で辞退された申請者が全体の7割にも上り、大きな問題となりました。

事務局が変わることで事務処理の迅速化を期待したいところですが、この補助金に取り組む方は、時間に(経済にも)余裕を余裕を持って取り組んでください。

(2)公募開始時期と採択率について

現状では公募開始時期は調整中となっており具体的な日時は発表されていませんが、本年4月以降となる見込です。

尚、事業再構築の最後の公募(第12回公募)の採択率は、全ての類型をトータルして26.5%でした。

この厳しい採択率は、代理申請などの不正対策や、有識者会議での指摘を受けて審査が厳格化された影響があると思われます。

しかし新補助金も、同じ基金を使っている以上、審査の基準が大幅に変わることは考えられませんので、

厳しい採択率を突破できるだけの(内容のある)事業計画を十分な時間をかけて検討してください。

(中小企業新事業進出促進事業)
中小企業新事業進出促進事業