ドローンの国家資格が活かせるレベル3.5飛行とは?

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9月30日のコラムで、現状では無人航空機操縦士の国家資格は免許的にはあまり効果がないと説明しましたが、唯一例外があります。

それは2023年12月に新設された「レベル3.5飛行」と呼ばれる飛行です。これから、「レベル3.5飛行」を行う事業者さんが増えると思いますので、概要をお話しします。

【1】「レベル3.5」飛行とは

 
例えば、山間部や河川での測量や、人里離れた場所にあるメガソーラーのクラスタ点検などは、通常、目視による飛行ではなく、自動航行アプリを利用した目視外飛行(自動飛行)で行われます。

従来は、目視外飛行は飛行が制限される特定飛行に当たるため、例え人口密度が低い地域であっても原則、立入管理区域を設けて、看板を設置し、補助員を配置して第三者が立ち入らないよう管理する(これを立入管理措置と言います)ことが求められていました。

このような飛行をレベル3飛行と呼び、以前ご紹介したカテゴリー2飛行の一形態に当たるものですが、このレベル3飛行に必須とされている立入管理措置を行うのが非常に大変なので、物流や広域点検に関わる事業者の方々にとって大きな負担になっていました。

そこで、この負担を軽減すべく、機体に搭載されたカメラを活用して飛行空域の下が無人地帯であることが確認できる場合に限って立入管理措置を免除し、一時的に道路や線路を横断することを認めるように航空法が拡張されました。

このように、山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地等の人口密度が低い地域、第三者が存在する可能性が低い場所で、立入管理措置なしで目視外飛行を実施するものをレベル3.5飛行と呼びます。

レベル3.5飛行の概要

当面は、物流や広域点検、測量や農薬散布など、無人地域においてnドローンの活用が進むと思いますが、レベル3.5飛行が解禁されたことで、立入管理措置を必要とせず実施することができますので、今後いっそうの活用が進むのではないかと予想しています。

【2】レベル3.5を行うための条件とは

 
ここからは、レベル3.5飛行を実施される事業者さんに向けたお話しです。

レベル3.5が許可されるかどうか(立入管理措置を免除されるかどうか)については、条件が決められています。

山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地等の人口密度が低い地域、第三者が存在する可能性が低い場所での飛行に限ることはレベル3飛行と同様ですが、特に以下の3つの条件をクリアすればレベル3.5を行っても良いとされています。

(1)条件1
機体のカメラを使用することで飛行経路の真下に人や車がいないこと(無人地帯であること)が確認できる

(2)条件2
損害賠償責任保険に加入しており、万が一の人身事故や物損事故が発生した時に費用面の補償ができること

(3)条件3
無人航空機操縦士の国家資格(目視外飛行の限定解除を含む)を保有するパイロットが操縦を行うこと

現在、国内で最もたくさん使われているDJI社のドローンであれば、条件1はクリアしているし、条件2の損害賠償責任保険への加入も僅かなお金で解決できるので大きな問題はないと思います。

最大の難関は、やっぱり条件3の無人航空機操縦士の国家資格の取得でしょうね。

ドローンスクールなど使うと二等資格なら短期間で取らせてもらえますが、高額な費用が必要なので、近々に業務を開始したい場合は、当初は無人航空機操縦士の国家資格を保有しているパイロットを探して、委託されるのが現実的だと思います。

国家資格のないパイロットを使う際はレベル3.5は許可されないので、立入管理区域を設置して、第三者の立入がないように看板を設置し、さらに広告を出して周知して、補助員を配置して第三者の立入を監視するなどの大掛かりな対策(レベル3飛行としての)が必要になります。

【3】有人地帯の上空はNGです

 
レベル3.5飛行は、あくまで無人地帯の上空を飛行することを機体に搭載されたカメラで確認しながら行うものです。従って、有人地帯の上空を飛行するレベル4飛行(カテゴリーⅢ飛行)とは異なります。

手続きが簡素化されているとは言っても、人口密集地域のように人や車がたくさん往来している場所では許可されませんので、ご留意ください。

レベル4飛行とレベル3.5飛行の違い

尚、レベル3.5飛行を行う場合は、その他のレベル3飛行などの特定飛行の承認申請とは異なる、別の申請手続き(簡易申請)が必要になります。これについては別の機会でご紹介しますね。