ドローンによる建物診断で見つけたい「配筋爆裂」!

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赤外線カメラを搭載したドローンを使った建物点検に注目が集まり、多くの事業者がこの市場に参入しています。

しかし、ドローンを活用することでこれだけの成果が出せましたと、堂々と胸を張ってアピールしている建設業階の関係者は、一部を除きほとんどおられません。

ヒアリングしてみると「ドローンの性能が・・・」とおっしゃる人が多い。

ドローンには、驚くほど高性能な赤外線カメラを搭載されているのに、なぜ現場で成果が出せていないのか?

疑問に思い、1年近くをかけて調査をしてきた結果、いくつかの重要な要因があることに気が付きました。

これから、ドローンと赤外線を使ってビルや道路の橋脚などのコンクリート構造物の点検市場への参入される方も多いと思いますので、

この認識の「ギャップ」が生まれている最も大きな原因と、プロパイロットとして参入する前にやっておかねばならないことをお話しします。

やや、学術的な内容になりますが、筆者の1年間の研究発表だと思ってお付き合いください。

外壁の崩壊

【1】そもそも赤外線解析でわかるとされていること

 
赤外線を使って建物の劣化診断の技術研修サービスを行なっている団体がいくつかあります。

筆者もその内の1つの研修を受講し、資格試験をパスして「赤外線建物診断技能師」という資格をいただきました。

このような団体では、赤外線カメラを使って外壁の中に生じる剥離(空隙)を検出する技術を指導しています。

このような剥離は、外壁を構成する素材(コンクリート躯体、モルタル、タイルなど)の熱膨張率の違いで、わずかな応力によるズレが蓄積することで発生し、

(ディファレンシャルムーブメントという)

剥離の空気層と外壁構造物の熱伝導率の違いによって生まれる温度差を赤外線で検出することで、この剥離を非接触的な方法で発見することができるのです。

(外壁タイルが剥離・落下する仕組み)
外壁タイルの剥離

昨今、さまざまなオフィスビルやマンションの外壁が剥離して落下して、歩道を歩いていた歩行者に負傷者が出る事故が増えているので、

この技術を磨くことで世の中に役に立つことができるはずだと思っていたのです。

点検市場に参入を計画している多くのパイロットさんも、そのように考えていると思います。

【2】建設業階の関係者の関心ごと

 
ところが、建設業界内で点検業務を担当する方の関心事は、単なるタイルの剥離ではなく、

「コンクリート内の鉄筋の腐食による配筋爆裂」という現象を発見するだということがわかりました。

(建設業界の方にとっては常識かもしれませんが💦)

この配筋爆裂という現象は、コンクリートの中和化により引き起こされる配筋(鉄筋)の腐食でコンクリートが圧迫・膨張を起こす現象であり、

最後には膨張したコンクリート躯体部分に亀裂が生じ、躯体から剥離して落下します。

同じ剥離とは言っても、タイルが数枚剥がれるのとは訳が違って(もちろんは配筋爆裂でもタイルは落ちるが)、

コンクリートの躯体の一部が塊となって落下するので、タイルの剥離などよりもはるかに大きな危険性を伴います。

業界関係者の関心事は、この「配筋爆裂」を発見することだということが、ヒアリングの結果わかりました。。

(配筋爆裂が発生する仕組み)
配筋爆裂が発生する仕組み

配筋爆裂を発生させてしまうと、(強度回復のための)根本的な補修は難しいので、未然防止が課題になるとのこと。

従って、ドローンを使ってこの配筋爆裂の発生を検知できるかどうかというのが、建設業界へドローンを提案する際の大きなアピールポイントとなります。

赤外線の研修では外壁剥離とはディファレンシャルムーブメントで起こると聞きましたが、現実世界の実態はかなり違っていました。

【3】市場に参入するために何から始めるか

 
筆者が、赤外線検査で配筋爆裂を検出することができると気付いたのは、ある専門家の方から見せてもらった1枚の赤外線画像の写真がきっかけです。

(お見せすることができないですが、どうぞご了承ください)

一見すると、どこにもタイルの剥離に相当するような劣化箇所は見当たらないのに、なぜこの画像をサンプルとして見せてくれたのだろう?と当初は不思議に思っていました。

しかし、建設業界の方へのヒアリング結果に触発され、配筋爆裂の仕組みを勉強したことで、突然つながりました!

その赤外線写真には梁の鉄筋に巻きつけてある「あばら筋」がくっきり写っていることに気づいたのです。

通常、配筋の周囲はコンクリートで覆われているので温度差が発生するはずもないので、

配筋の影が高温箇所として写るということは、背筋の周囲に空隙が生じていることになります。

正常なコンクリート構造物であれば内部に空隙なんてありませんから、コンクリートの中和化によって配筋が腐食、膨張し、

周囲のコンクリートが押し出され、背筋の周囲にわずかな空隙が生じ、それが高温箇所となって画像に写ったと考えられます。

つまり、背筋の周囲のコンクリート(かぶりという)の厚み不足という施工不良が発見された1枚だという結論に至りました。

筆者がこのことに気づいたのは、数人の業界関係者にヒアリングしたことをきっかけにして、コンクリート構造に関する基礎的な勉強ができたおかげです。。

(サンプル写真を提供して下さったプロパイロットのSさんにも大感謝です🙇🏻‍♂️)

以上の経過を考えると、建設業界で点検の手段としてのドローン赤外線検査の認知を高めるためには、

自分自身でドローン撮影した赤外線画像を解析して背筋爆裂を検出したサンプルデータ(サンプルブック)を作ることが必須だと思われます。

コンクリートの中和化を引き起こす雨水の侵入経路となるわずかなヒビ(微小クラック)を目視画像撮影で発見することも未然防止につながります。

これらのエビデンスを準備できれば、「ドローンの性能が・・・」という寝ぼけた評価をひっくり返すことができるかもしれない💡👍

まだまだ、ドローンで仕事ができる環境を作るには、多くの課題を解決する必要があると思いますが、

2月6日にご紹介させていただいた「ドローンで幸せ社会プロジェクト」もその1つで、

準備を重ね、時期がくれば、あらためて皆さんにご紹介し、情報拡散などのご協力をお願いしたいと考えています。