共同作業の第一歩は「経営理念」の明確化!
前回の「補助金の申請・活用を成功させるカギは共同作業!」に引き続き、
今回はその詳細を、皆さんを支援する立場から(コンサルとして)お話しさせていただきます。
僕が申請者の皆さんとの共同作業で真っ先に作りたいもの、それは皆さんの会社の経営理念です。
意外に思われるかもしれませんが、この経営理念は建築物でいう基礎や土台に相当するものになります。
ただし、ここでいう経営理念はただの抽象的なものや、イメージ的なものではありません。
ここで経営理念と言っているものは、
1)将来、会社がどんな姿になることを願っているのか
2)そのために大切にしたい技術や、人や、想いなどは何か
3)将来のビジョンを実現するための経営戦略はどんなものか(誰に、何を、どのように)
4)会社の強みや弱み、事業にとっての機会と脅威
などを一体的に「経営理念」と表現しています。
これらの経営理念は、決してコンサルに丸投げして、作文してもらってはなりません。
申請者である皆さん自身が、自分の言葉でまずたたき台になるものを作り、コンサルに相談しながら完成させるのが良い方法です。
以下で、申請のための事業計画書を作成する上で、この経営理念がなぜ必要になるのかを説明します。
【1】経営課題の解決が必要なことを説明するため
まず第一に、直面している経営課題を説明するために使います。
皆さんが補助金を申請した時に真っ先に審査されるのは、
そもそも申請した会社にとって「申請した補助事業が本当に必要なものなのか」ということです。
つまり単なる物品欲しさのための稟議書であっては通らないのです。
会社の中長期的な経営ビジョンを実現する上で、今現在、障害となっているもの(課題)があること、
その課題を解決するために補助事業の実施がどうしても必要であること、
このようなシナリオで補助事業が避けては通れないものであることを訴えなくてはなりません。
このように補助事業の必要性を説明するために、経営理念を具体化しておく必要があります。
【2】補助事業の位置付けを説明するため
次に、経営戦略実現のための補助事業の役割を説明するために使います。
つまり、会社の中長期的な経営戦略の中で、補助事業がどのような位置付けで、どのような役割を果たすのか、を説明します。
一例を挙げると、補助事業を行うことが、
1)既存戦略ではカバーできない顧客ニーズに対応する
2)既存戦略におけるオペレーションの生産性を高める
3)既存戦略の販路拡大を図る
4)既存戦略とは全く別の新製品で新市場へアプローチする
など、補助事業がどのように既存戦略に対する補完的な役割を果たすかを説明します。
最近の補助金制度は、どれも電子申請で事業計画を入力させる仕組みになっており、
その最初の部分で、「どのような課題解決を行うのか」と「補助事業の全体の経営戦略の中での位置付け」の説明が求められます。
全く予備知識がないと「一体何のこと?」と怪訝に思われるかも知れませんが、
今回お話ししたことを、ご自身の会社に置き換えて、説明するようにしてください。
今回の説明は少々専門的で難しかったかも知れませんが、
経営理念を明確に伝えることが、補助金申請の作業の上でとても重要な作業になることを理解しておいてください。