補助金で何ができるのか?(その1) ドローンビジネス編

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昨年10月のコラム開設以降、様々な補助金制度の内容や、採択を取るための申請の仕方を解説をしてきましたが、

今回は、そのようなハウツー的な解説ではなく、

そもそも補助金することで、会社の経営をどのように良くすることができるのか、

(何の目的に使えるのか)という基本的なことをお話ししたいと思います。

このコラムをご覧いただいている会員の方々の中には、ドローンに興味をお持ちの方もいらっしゃるので、

まず今回は、将来ドローンを使った事業を起業したり、既にドローンを使って仕事をしているけれど、事業を拡大したいと考えておられる方々に向けて、

補助金を使えば、どんなことができるのかを解説いたします。

【1】新規に開業してドローンを使った事業を始めたい人へ

 
現在は趣味でドローンを飛ばしているけど、将来的には技術を活かして事業を立ち上げたい、

つまり新規創業を考えている方には、「小規模事業者持続化補助金の創業型」という制度が活用できます。

申請時点で創業から3年以内であって、自治体が主催する特定創業等支援事業という創業セミナーを受講した方が申請できる補助金です。

仕事で使う目的ならインボイス事業者としての申請になるでしょうから、インボイス特例という特例を使うことで最大で250万円の補助金を申請できます。

(補助率は2/3なので、逆算すると375万円までの設備投資が補助対象になります)

この補助金を活用することで、以下の取り組みを行うことができます。(補助金の対象になるもの)

1)ドローンなどの機械装置の購入費用
2)事務所を改修するための費用
3)新製品やサービスを開発・運用するのに必要なクラウドの利用料
4)新規顧客を開拓する(販路開拓と言う)のための展示会の費用や旅費
5)チラシやパンフレットなどの印刷物の製作費用
6)ホームページの設置費用やウェブ広告費用(ただし、補助金申請額の25%以内)

現在、5月1日〜6月13日17:00までの期間で第1回公募の申請受付が行われています。

(ただし、商工会議所または商工会への事業支援計画書発行依頼は締め切りが6月3日です)

(小規模事業者持続化補助金創業型のホームページ)
小規模事業者持続化補助金創業型

【2】ドローンを活用して生産性を高めたい人へ

 
例えば、これまで熟練技術者の手に頼っていた高所での点検業務を、ドローンを使って行うことでより安全かつ低コストで行いたいとか、外部に委託していた点検業務を内製化して外注費を減らし点検のリードタイムも短縮したいとか、

つまりドローンを使って業務の生産性をより高めたり、そのような新たなサービスを新規開発したいというような場合、

経営革新の取り組みを支援する「ものづくり補助金の製品・サービス高付加価値枠」という制度を利用することができます。

この補助金制度では、会社の従業員数によって、最大750万円(従業員5人以下)〜2500万円(従業員51名以上)の補助金を申請することができます。

(補助率は1/ 2なので、逆算すると、従業員5人以下の場合、1500万円までの設備投資が補助対象になります)

この補助金を活用することで、以下の取り組みを行うことができます。(補助金の対象になるものです)

1)ドローンなどの機械装置の購入費用
2)データの解析を行うアプリの開発やデータの保管を行うデータベースなどのシステム開発の費用
3)システムを運用するための専用のハードウェアの導入費用
4)新製品やサービスを開発・運用するのに必要なクラウドの利用料
5)外部の専門家への(技術支援の)謝金の支払い
6)外部の知的財産権の使用料

現在、4月25日〜7月25日17:00までの期間で第20次公募の申請受付が行われています。

(ものづくり補助金第20次公のホームページ)
ものづくり補助金"/

【3】ドローンを活用して現業とは異なる新規事業を始めたい人へ

 
例えば、これまでドローンを活用して写真測量などの事業を行なっていたが、

新たにレーザースキャナーを搭載できるドローンを導入して、三次元マッピングなど国が推奨するi-Constrructionに対応する付加価値の高いサービスを開発して、国や市町村が実施する土木事業に参入するなど、

これまでとは異なる市場に対して、従来とは異なる付加価値を提供するサービスを開発して新規事業を行う場合は、「新事業進出補助金」という補助金制度を活用することができます。

レーザースキャナーとそれを搭載するドローンの購入には、1,600万円以上の大規模な設備投資が必要になりますが、この補助金制度は1500万円以上の設備投資が補助の対象なのでピッタリです。

補助率は1/2で、会社の従業員数によって、最大2500万円(従業員20人以下)〜7000万円(従業員101名以上)の補助金を申請することができます。

この補助金を活用することで、以下の取り組みを行うことができます。(補助金の対象になるもの)

1)ドローンやレーザースキャナー、GNSS測量機、トータルステーションなどの機械装置の購入
2)データの解析を行うアプリの購入やシステムの開発費用
3)システムを運用するための専用のハードウェアの導入費用
4)新製品やサービスを開発・運用するのに必要なクラウドの利用料
5)事務所拡張のための改修工事や新築工事費用
6)外部の専門家への(技術支援の)謝金の支払い
7)外部の知的財産権の使用料

この補助金は他のものと異なり、大規模な建物の改修工事や新築工事にも対応できるのが大きな特徴です。

現在、4月22日〜7月10日18:00までの期間で第1回公募の申請受付が行われています。

(新事業進出補助金のホームページ)
新事業進出補助金"/

【4】事業承継した資産を使って新たな事業を始めたい人へ

 
例えば建設業などの先代社長が、これから5年以内に親族内承継や従業員承継などによる経営権の移譲(事業承継)を計画して、

事業承継した新たな経営者がドローンなどの新しい設備を導入することで、新サービスの開発や新たな生産工程の刷新などの経営革新のための取り組みを行う場合は、

「事業承継M&A補助金の事業承継促進枠」という補助金制度を活用することができます。

この補助金制度は最大800万円の補助金を申請することができます。

(補助率は小規模事業者が2/ 3なので1200万円までの設備投資が対象、一般の中小企業者は1/ 2なので1600万円までの設備投資が対象)

この補助金を活用することで、以下の取り組みを行うことができます。(補助金の対象になるもの)

1)ドローンなどの機械装置の購入
2)データの解析を行うアプリの開発やデータの保管を行うデータベースなどのシステム開発
3)システムを運用するための専用のハードウェアの導入
4)新製品やサービスを開発・運用するのに必要なクラウドの利用
5)事務所拡張のための改修工事や新築工事
6)外部の専門家への(技術支援の)謝金の支払い
7)外部の知的財産権の使用
8)新規顧客を開拓する(販路開拓と言います)のための展示会の費用

尚、昨年までの「事業承継引継ぎ補助金」では、事務所や駐車場などを契約する際の、賃借料や仲介手数料までも補助対象となっていました。

今年度の「事業承継M&A補助金の事業承継促進枠」は現在公募開始待ちの状態ですが、もし費目が昨年と同じなら、非常に広い範囲の費用が補助対象になると思われます。

(事業承継M&A補助金のホームページ)
事業承継M&A補助金"/

【5】ドローンを活用して人手不足を解消したい人へ

 
例えば、現在は高所作業技術を持った特殊な技術者を確保しないと実施できない高圧電線の点検や橋梁の点検業務などで、技術者の不足によって点検業務の実施が困難な場合に、

特殊な専用制御アプリで自動航行するドローンを導入することで、点検業務が実施できる場合などは、「中小企業省力投資補助金(一般型)」という補助金制度を活用することができます。

この補助金制度は、会社の従業員数によって、最大750万円(従業員5人以下)〜8000万円(従業員101名以上)の補助金を申請することができます。

(補助率は小規模事業者が2/ 3、一般の中小企業者は1/ 2。補助金額が1500万円までは2/ 3、1/ 2。1500万円をこえる部分は1/ 3)

この補助金を活用することで、以下の取り組みを行うことができます。(補助金の対象になるもの)

1)ドローンなどの機械装置の購入
2)データの解析を行うアプリの開発やデータの保管を行うデータベースなどのシステム開発
3)システムを運用するための専用のハードウェアの導入
4)新製品やサービスを開発・運用するのに必要なクラウドの利用
5)外部の専門家への(技術支援の)謝金の支払い
6)外部の知的財産権の使用

尚、この補助金では、原則として、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、外部のシステムインテグレータ(SIer)と連携するオーダーメイド設備を対象としていますが、

汎用設備であっても、組み合わせて導入することでより高い省力化効果や付加価値を生み出すことが可能である場合には、オーダーメイド設備とみなされますので、難しく考えなくても結構です。

現在、4月25日〜5月30日17:00までの期間で第2回公募の申請受付が行われています。

(中小企業省力投資補助金(一般型)のホームページ)
中小企業省力投資補助金(一般型)"/

【6】補助金活用の主旨を明確にすること

 

以上で解説したように、一口にドローンの導入に補助金を活用すると言っても、

新規創業のためなのか、経営革新のためなのか、新規事業を立ち上げるのか、事業承継を行うのか、省力化投資のためなのか、

自社の経営を強化する方針を明確にしなければ、どの補助金を使うのか決定することができません。

つまり、補助金の活用を検討する時は、

まず第一に、自社の将来的なビジョンに向って「今どんな課題を解決する必要があるのか」を明確にしていただきたいと思います。

尚、今回はドローンの事業化を例にとって説明しましたが、

他の業種や業態においても、「ドローン」の部分を「自社に必要なもの」と置き換えていただければ、全く同じです。

筆者も「ものづくり補助金第19次公募」への申請を終えましたので、来月は「小規模事業者持続化補助金通常型第17回公募」への申請を行います。

皆さんも是非がんばってください。