とうとうIT導入補助金で不正受給が発覚!
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10月21日のNHKの報道によると、IT導入補助金制度において、1978件で合計58億2000万円余りの不正受給が発生していることが明らかとなり、大きな問題となっています。
補助金はあくまで実際に支出(発注)した金額の一部について、国から補助を受けるものですが、ITツールを提供するIT導入支援事業者と申請者が結託して、IT ツールの金額を不正に水増して補助金を請求したり、制度上禁止されているキックバックを行なっていたものです。
当然のことに、不正に受給した補助金は採択取り消しとなって、追徴金加算の上で返還を求められますし、IT導入支援事業者は登録取り消しの処分を受けることになり、大変なペナルティを課されることになります。
【1】IT 導入補助金制度とは
ITツールを開発・販売するIT導入支援事業者が開発し登録したITツールを予めカタログ化しておき、カタログ化されたITツールを導入する際の費用の一部を補助する補助金制度です。
中小企業の生産性向上のための補助金であり、効率化の対象とするビジネスのプロセスの数によって幾つかの類型があり、類型ごとに補助金の上限額と補助率が決められています。以下に、最も代表的な4つの類型をご紹介します。
<通常枠>
<インボイス対応枠(インボイス導入類型)>
<インボイス対応枠(電子取引類型)>
<セキュリティ対策推進枠>
申請手続きは、申請者がIT導入支援事業者と協力して、電子申請を提出(交付申請という)することで実施しますが、IT導入支援事業者が申請手続きのかなりの部分を支援することもあって、他の補助金制度に比べて採択率が非常に高い(通常枠で70〜80%、インボイス枠で80〜95%)ことが特徴です。
【2】悪徳ブローカーにご注意ください!
申請を支援しなければならないIT導入支援事業者がITツールの本来の価格を水増しして、申請者と結託して虚偽の申請を行い、支給された補助金の一部を申請者にキック
バックしたり、紹介などのブローカー的な役目をした業者に手数料を支払うなどの禁止行為が行われたようです。
補助金は実際に発注したIT ツールが納品され、導入費用の支払いを終えたものが対象となりますが、実際には支払いを行なっていないにも関わらず、請求書や領収書、銀行の預金通帳などを偽造して、お金が支払われたように見せかけ虚偽の申請を行なわれました。
本来、IT導入支援補助金は申請者とIT導入支援事業者とが直接的に協力して申請などの事務手続きを行うので、筆者のようにIT導入支援事業者ではない事業者は申請に関わりようがありません。
それなのに、「実質的に経費の負担をすることなくITツールが手に入る」という甘い言葉で、怪しげなブローカーがこうした不正行為に申請者を誘い込み、申請者にIT導入支援事業者を紹介し、紹介手数料を補助金から支払わせるような違法行為を行なっています。
以前より、筆者にもIT導入支援補助金の支援の要請が何度もきました。
筆者は関わりようがないのになぜ依頼が来るのか不思議でしたが、今考えると、こうしたブローカー的な役割を期待されていたのでしょうね。全てお断りして大正解でした。
不正行為を行ったと判断された申請者は、追徴金加算した上で給付された補助金の返還を求められるし、IT導入支援事業者は国への登録を取り消されることになります。
こういう怪しいブローカーの甘い言葉には絶対に乗らないように注意しましょう。
【3】ドローンの後処理ソフトも対象
IT導入支援補助金は、不正受給はとんでもないことですが、正しく利用すれば資金的に大きな支援を受けることができます。
例えば、ドローン関係においても、測量や点検などにおいて、複数画像の合成を行なって正射投影した1枚の大きな写真(オルソ画像)を合成したり、位置情報の誤差を補完して複数の地図の重ね合わせ、3次元マッピングなどを行うアプリとして、DJI社の DJI Terraという著名なアプリがあります。
DJI Terra自体は、正規に購入すると50〜60万円くらいの費用がかかりますので、例え会社で導入する場合でも費用的には大きな負担になりますが、
DJI Terraを販売している会社の中には、IT導入支援事業者として商品を登録している会社もありますから、このような会社と協力すれば、2分の1の補助金を支給してもらえますので、財務的な負担がかなり軽減されます。
筆者は直接的なご支援はできないのですが、このように正しく利用すれば大きな効果がありますので、IT系のツールを導入したい方はご検討されてはいかがでしょうか?