事業承継M&A補助金(事業承継促進枠)のメリット
事業承継M&A補助金の第12次公募「事業承継促進枠」の電子申請が開始されました。
申請期間は8月22日から9月19日までの4週間です。
この補助金は、昨年度まで実施されていた事業承継引継補助金の後継となる補助金で、
特に今回の事業承継促進枠というのは、
今後5年以内に事業承継を予定している方(事業を引き継ぐ予定の方)が申請できるものです。
例えば、両親が経営していた店舗の経営を、親族が引き継いで経営を続けていく場合や、
会社の役員や従業員が、会社の所有権(株式)と経営権を現在の経営者から引き継ぎ、
経営陣を若返らせて会社経営を続けるような場合が想定されています。
何年もかかって蓄積した技術や、お客様や、社員を、経営者の高齢化を理由に無くしてしまうのはあまりに惜しい。
この補助金制度は、事業を引き継ぐ承継予定者が行う「生産性向上の取り組み」のための設備投資を支援してくれます。
経営者の代替わりをきっかけに、新しい事業を打ち出したいような場合、非常に心強いです。
これから後継者に事業の引継ぎを考えておられる経営者の方が、皆さんの近くにいらっしゃったら是非紹介してあげてください。
【1】申請ができる対象者と事業承継の条件
被承継者(現在の経営者)が法人の場合、創業から通算5年以上を経過していて、
対象会社で3年以上勤務している役員や雇用されている従業員が、
今後5年以内に会社の経営権と所有権(株式)を引き継ぐような法人が対象です。
個人事業主の場合は、創業(開業届の提出)から5年以上経過している青色申告事業者で、
現在の事業を今後5年以内に対象会社の役員の経験がない親族が引き継ぐ、そのような個人事業主が対象です。
ただし事業承継促進枠では、対象会社とは別の法人がM&Aをかける場合や、親族ではない第三者が承継する場合、
あるいは創業から5年が経過していない個人事業主や白色申告事業者は申請の対象とはなりません。
この点は、昨年までの事業承継引継補助金よりもやや厳しい条件となっています。
いずれも事業を引き継ぐ承継者が申請します。(個人事業主の場合、被承継者との共同申請)
それから、事業承継に関しては、5年以内に事業承継が完了したエビデンスを提出することになりますが、
事業承継の条件としては、不動産や設備を委譲するだけではだめで、
会社の資産はもちろん、従業員、顧客、その他技術的な資産、それらも含めて全て一体的に引き継ぐことが必要となります。
【2】補助金制度の概要
補助対象となる経費は、設備費、外注費、産業財産等関連経費、砂金、委託費、旅費です。
店舗の改修にかかる費用や、機械装置の購入、情報システムの開発に相当する費用は設備費となります。
建物の改修に使える補助金は非常に少ないので、店舗の改修をしたい方には非常に有用です。
補助金の申請額は下限が100万円〜最大800万円で、賃上げができる場合はさらに加算されて、上限が1000万円となります。
また、従来事業の一部を廃業する場合は、補助金申請額に廃業費としてプラス150万円の加算がなされます。
補助率は、補助額800万円に相当する部分については2/3以内、800万円をこえる部分は1/2となります。
また申請企業さんが小規模事業者に該当する場合は、800万円に相当する部分の補助率が3/4に引き上げられます。
(補助金800万円に該当する設備投資額は1200万円になります)
その他、詳しいことは以下のパンフレットの抜粋を参考にしてもらいたいですが、
先の第11次公募(専門家活用枠)の採択率は、なんと60%もありましたから、
今回の公募の採択率も同様レベルの高い採択率が期待できるのではないかと推測しています。
第12次公募の電子申請の締め切りまで、残り3週間と少しとなりましたので、
加点要素となる経営革新計画の認定取得や経営力向上計画の認定取得までは無理にしても、
今から必死に準備すれば、ギリで今回の公募に間に合うと思います。
あるいは、検討期間が必要であれば、次の公募会に備えて今から準備を始めることをお勧めします。