ドローンの命綱!バッテリー管理とは?

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最近のドローンはさまざまな姿勢制御機能が充実しているので、初心者でも容易に飛ばせますが、いったん飛行中に異常が起こると途端に制御を失って衝突や墜落などの事故につながります。

実は、飛行中の異常は結構な頻度で起こるので、ドローンの安全に影響を与える要因(リスクの原因)を理解して、事前に点検をしたり、危険を回避する練習をして不測の事態に備えることが非常に重要です。

これから数回に渡って、ドローンの安全に影響を与える要因と、安全のための備え方について解説します。

まず最初は、機体保全の中で最も重要な要素であるバッテリーの管理について解説します。

<PHNATOM4PRO V2.0のバッテリー>
PHNATOM4PRO V2.0のバッテリー

【1】人間の体に例えると心臓に当たる

 

ドローンに使われるバッテリーはリチウムイオン電池の一種であるリチウムポリマーバッテリー(リポバッテリー)です。

電解質にポリマーを使用しており、エネルギー密度が高く、小型ながら大容量の電源供給が可能であり、繰り返し充電を行なってもメモリー効果もなく容量の減少もほとんど発生しません。

ドローンでは、このリポバッテリーから供給されるエネルギーで姿勢の制御を行い、モーターを回転させて揚力や推力を得て飛行します。このようにバッテリーは人間の心臓と同じ働きをしています。

このバッテリーに異常が生じるとドローンは飛行を続けることができずに墜落してしまうので、バッテリーの健康状態をしっかり管理することが、事故防止の第一歩となります。

なおバッテリーは、ドローンの機種ごとに各々の専用のものが用意されているので、各製品ごとに指定された取り扱いが必要です。ここでは共通して管理が必要なことをお話します。

<MAVIC2 PROのバッテリー>
MAVIC2 PROのバッテリー

【2】バッテリーの充電管理

 

ドローンに使われるバッテリーには、保全のための電子回路が組み込まれていて、充電回数や容量の管理を行なっています。このような保護機能をインテリジェント機能と呼びます。

ドローンを飛行させる場合は、バッテリーの充電状態をチェックして、十分な充電状態であるかどうかをチェックします。もし十分な充電容量がない場合は満充電の状態になるまで充電します(満充電になると自動的に充電が停止します)

飛行中は、送信機のモニター画面にバッテリーの充電状態が表示されるので残容量を常にチェックして、残容量が20%に近い状態になったら飛行をやめ着陸させ、新しいバッテリーに交換して過放電が起きないようにします。

<MAVIC2 PROのモニター画面>
MAVIC2 PROのモニター画面

使用後は、いったん満充電させた後、保護回路が働かせて、指定した日数をかけて60%の容量まで自動的に放電させ、その後はその状態で保管します。

1つだけ重要な注意事項があります。通常リポバッテリーは、過充電や過放電が発生しないよう保護機能が働いていますが、長時間(例えば丸1年以上)充電せずに放置したりすると、さすがに完全に放電してしまって容量がゼロの状態になってしまいます。

このような完全放電の状態になると再び充電をしようとしてもできません。(完全に死んでしまって蘇生しません)絶対に完全放電させないように、数ヶ月に1回程度は、保全のための充電をしてください。

尚、異常が発生したバッテリーは、内部にガスが発生するために膨らみます、目視した際にわかるほど膨らんだバッテリーは絶対に使用しないようにしてください。

【3】急激に容量が低下すると墜落します

 

寒冷地で飛ばす場合など、極端に気温が低い環境ではバッテリーの温度も下がって、急激に容量の低下が発生します。飛行中にこのような状況が発生すると非常に危険で墜落する恐れがあります。

送信機のモニター画面でバッテリーの温度が表示されるので、バッテリーの温度が20°以下にならないように(保温したり、温めたりして)十分注意してください。

反対に、真夏の直射日光の下など、周囲が高温になる環境ではバッテリーの温度も上昇して、急激に容量の低下が発生することがあります。バッテリーの温度が50°を超えないように(冷却したりして)管理してください。

このようにバッテリーの温度が20°〜50°の範囲で使用するようにしてください。

<MAVIC2 PROのバッテリー管理画面>
MAVIC2 PROのバッテリー管理画面

【4】ネット販売で購入する際の注意事項

 

よくヤフオクなどで「未使用」とか「未開封」と表示されたものが、新品よりも低価格で販売されていることがありますが、これは「新品」という意味ではありませんのでご注意ください。

つまり未開封とは、購入後(未開封のままで放置して)、長期間に渡って保全のための充電管理を行なっていないという意味で、完全に死んでいて充電ができないことがあります。(筆者も一度引っかかりました)

それと中古のバッテリーに関しては、一見キズもなく見た目は新品同様に見えるものであっても、どこに瑕疵があるかわかりません。筆者もバッテリーを機体に固定するラチェットに異常がある商品に当たったことがあります。(もちろん危険なため飛行には使えません)

バッテリーの中古品には手を出さない方が無難です。

【5】家庭ゴミ(燃えないごみ)として廃棄してはいけない

 

リポバッテリーは強い衝撃を加えると爆発します。これは死んでしまった古いバッテリーでも同じです。

なので保管する場合は、万が一に備えて防爆機能を持ったバッグなどに保管します。

<PHANTOM4 PROバッテリーの防爆バッグ>
防爆バッグ

またバッテリーを廃棄する時は、燃えないゴミ(家庭ゴミ、資源ゴミ)として廃棄しないようにしてください。非常に危険です。

死んでしまったバッテリーは一定期間、塩水につけて完全に放電させた後、自治体が指定する方法で廃棄するようにしてください。