「顧客管理の目的」を明確にしよう
【1】「顧客管理」という言葉の意味は?
言葉をいうものは非常にやっかいなもので、
同じ言葉でも、受け取る人によって、
心の中に浮かぶイメージが全く違うものがあります。
異なるイメージが浮かんでいる人たちが、
その言葉を使って会話をしても、
互いの想いが伝わるのはとても難しいと思います。
その典型的な例として挙げられるものの1つとして、
「顧客管理」
という言葉が挙げられるのではないでしょうか?
皆さんは、「顧客管理」って何をするものだと思って
いらっしゃいますか。
1)お客様の個人情報を記録して管理する
2)お客様が、いつ、何を、いくらで買ったか管理する
3)顧客管理台帳を記入する
4)CRMソフトに顧客情報を入力する
5)顧客にいつ、どんな案内を出すかを管理する
などなど、いろんなものがありますね。
まだ、他にもあると思いますが、
ここに書いたものには、
「ある大切なもの」が抜けています。
何が抜けているかわかりますか?
そうです。
ここにあげたことは、全て、
顧客管理のための「具体的な戦術行動」であって、
「顧客管理の目的」
を書いていないのです。
読者の皆さんに、少し振り返りをしていただくための
チェックでした。
そもそも、目的を明確にして共有していないのに、
戦術行動ばかりを議論して、
やれ効率化だとか、やれ情報共有だとか言っても
全くナンセンスですね。
だから「顧客管理」という言葉を使って議論をする時は、
まず「目的」を明確にして共有することから始めなくて
はならない、
ということを、ます皆さんに確認していただきたいと
思います。
【2】「顧客管理」の目的とは何か?
具体的な戦術行動をあれこれ議論する前に、
「顧客管理」とは何を目的に行うものなのかを明確に
しておきましょう。
念のために書いておきますが、
「顧客管理」の目的とは、
決して「お客様を管理する」ことではありません!
もし、漠然とでもそんなイメージをお持ちであれば、
今すぐ改めてください。
「顧客管理」とは、
「売り手が意図した行動をお客様にとってもらうために
売り手側の働きかけを管理してコントロールする」
マーケティング活動の取り組みです。
コントロールするのはお客様やお客様の行動ではなく、
「自分たちのお客様に対する働きかけ」なのです。
必要な情報を台帳やソフトに記録して、
管理して使えるようにするのは、
そのための手段(戦術)でしかありません。
非常に重要なことだと思いますが、
ITベンダーを中心に、
こんな大切なことをうやむやにしたまま、
戦術行動だけを「顧客管理」と呼んでいるような、
そんな社会の空気に危機感を感じてしまいます。
読者の皆さんとは、
この「顧客管理の目的」をしっかりと共有しておきたいと
思います。
【3】「顧客管理」で実現すべきは「顧客創造」
では、お客様に、こちらが意図した行動をとってもらう
ことで、何を実現しようというのでしょうか?
それは、「顧客創造」のための以下の2つのことです。
1)お客様を、新しく次々に作ること
(新規の見込み客の発見)
2)お客様を動機付けて育てること
(既存のお客様との信頼づくり&流出防止=維持)
業種や取扱商品、顧客層が異なれば、当然営業の戦略も
変わってきます。
また、商品の平均単価によっても、お客様の管理に
どの程度手をかけられるのか、かが変わってきます。
だから、
もし、「スーパー管理術」なるものが登場しても、
1つの方法であらゆるものを管理するなど、
到底できるはずがありません。
会社ごとに営業で成功するポイントを明確にして、
そのために管理すべき情報を決めて、
最適な戦術行動をとる、
という順番で作戦を立てましょう。
筆者は、こういう考え方で行う一連の取り組みを、
「顧客管理」とは呼ばすに、
「お客様創り」とか「ファン創り」と呼んでいます。
是非、皆さんの会社にあった「ファン創り」の取り組みを
是非行っていただきたいと思います。
クリエイトバリュー 中村 宏